開催日時 |
すでに終了しております 2016年7月2日(土)13:30~15:30 |
計画機関 |
株式会社 大京 |
所 在 |
京都市右京区嵯峨天竜寺若宮町 25-1他 旧トロッコ&ジオラマ京都JAPAN駐車場 【map】 |
今回の発掘調査について
現在京都の主要観光地として賑わう嵐山の地は、平安時代から鎌倉・室町時代にかけて、天皇の離宮や天龍寺などの大寺院を中心とする街区が形成されていたことが、文献資料やこれまでの発掘調査によりわかっています。その街区を形成したと考えられる複合遺跡は「嵯峨遺跡」と称され、今回の調査地はその一画に位置しています。往時は嵯峨街区に、南北主要道路として「薄ノ馬場」、東西主要道路として「今厨子」(現丸太町通)が走り、本調査地はその交点の南東部にあたります。
このたび、この地点で集合住宅の建設が計画され、前述の通り文化財包蔵地に該当することから、弊社が埋蔵文化財発掘調査を実施いたしました。
調査により、室町時代後半期、15世紀から16世紀にかけての建物跡や井戸などを検出し、それらに伴うものとして中国産の輸入青白磁や天目碗など、大変興味深い遺物が出土いたしました。15世紀前半に描かれた天龍寺に伝わる嵯峨地域の絵図によると、調査地点は「在家」と記され、寺院以外の民家や商家の類であったことがうかがえますが、今回の調査ではその絵図の時代に続く、応仁の乱(1467年)の時代、その前後にもこの地では比較的富裕な暮らしが営まれていたことを知ることができました。
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平安時代前期の土坑から出土した
須恵器の小壺
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今回の調査で出土した
中国産青磁
現地説明会の様子
梅雨時期の発掘調査でしたので、6月中は雨の日が多くなかなか調査も止まりがちになりましたが、現地説明会の当日はありがたいことにお天気に恵まれました。ただ、気温の上昇が著しく、非常に暑い一日となりましたので、ご来場者の皆様には、長く説明を聞くにも辛い状態でした。
それでも、200人を超えるほどのご来場者を数え、開場前から多くの考古学ファンの方々や学生さん、近隣の皆さまにお越しいただき、盛況な現地説明会となりました。
担当調査員が調査区の中から遺構の説明をおこなっている間も、皆さん熱心に聞き入っておられて、全体説明以降も積極的に調査員へ直接質問を投げかける方々も多くおられました。また、遺物展示のブースには今回出土した貴重な輸入青白磁などの遺物が並んでおり、そちらでも土器の専門の調査員が説明をおこなっていたため、遺物を見ながら詳しい説明を受けることができ、展示ブースに長く滞在しておられる方も少なくありませんでした。
立っているだけでも汗が吹き出し、クラクラしてくるような灼熱の気候でしたが、ご来場者もスタッフも体の不調を訴えるようなことはなく無事に現地説明会をおこなうことができました。ご協力ありがとうございました。
なお、当日の説明会開場では、単色印刷の説明会資料を配布いたしましたが、本ページトップからカラー版の資料をダウンロードできますので、そちらもご参照ください。