京都 遺跡発掘調査 有限会社京都平安文化財 調査のながれ

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発掘調査

 埋蔵文化財を包蔵する土地を掘削して、遺構や遺物を検出する作業です。
 埋蔵文化財を包蔵するかどうか未確定の土地では、「試掘(しくつ)」という確認調査(小さな調査区を数ヶ所掘削)をおこなって、遺構や遺物の存在が確定したら「本掘(ほんくつ)」と呼ばれる本格的な発掘調査に至ります。

1.環境整備

 まず、発掘を始める前に、安全確保のための現場フェンスバリケードなどを設置したり、作業員が使用する仮設ハウスやトイレ等を搬入したり、発掘現場の環境整備をします。また、山林や竹林の場合、伐採も必要になります。

2.表土剥ぎ

 発掘調査の最初の作業は、上層の表土などを剥ぎ取って遺構・遺物を包蔵する層まで掘り下げることです。発掘専門のオペレーターが操作するパワーショベルでおこなうことが多いです。重機による作業ですが、専門オペレーターの技術は正確で、ショベルの動きもとても繊細です。

3.遺構検出

image  昔の建物の柱穴や溝などの遺構を見つけ出す、「検出(けんしゅつ)」といわれる作業をおこないます。
 微妙な土の色の違いを見分けて、遺構を検出していきます。複数の時期の遺構が複雑に重なり合っている遺跡の場合は、専門の調査員でも判断が難しいときがありますが、慎重に注意深く観察しながら検出作業をおこなうと、遺構の性格や他の遺構との時期関係などがわかってくるので、この作業はとても重要です。また、一定の層で複数の遺構を検出したときなど、重要な検出状況は写真撮影し、測量して記録をとります。

4.遺構掘削・遺物検出

image  柱穴や溝などの遺構は、検出時は中に土が入っている状態なので、丁寧に中の土を取り除いて昔の姿に戻します。また、このときに遺構の中から石や土器などの遺物が出てくることがよくありますので慎重に掘削して、遺物が出てきたらそのつど記録をとりながら検出していきます。

5.遺物の取り上げ

image  土器や瓦、石製品、木製品、金属製品など、発掘現場からはさまざまな遺物が出土します。研究の進んだ土器や瓦は時期を推定しやすく、貴重な金属製品や石製品などからは地域間の交流や使用していた人々の社会的な階層などを推測することができます。ですので、その遺物の出土状況や出土位置は、遺跡や遺構の時期を推定したり性格を考えたりするうえでとても大切な資料になります。そのため、遺物は検出後すぐに取り上げてしまうのではなく、出土状況や位置を記録してから取り上げます。
 広範囲に遺物が散布している場合は、グリッドを設定して、おおよその位置がわかるように遺物カードなどに明記してから取り上げます。
 また、脆弱な遺物は取り上げ前に保存処理をおこなうこともあります。

6.調査の記録

 発掘調査は掘って終わりではなく、記録を残すことに大きな意義があります。その記録とは、検出した遺構の記録、調査区内の遺構面の記録、遺物の出土状況の記録、そして土層の記録など様々です。
 調査の進捗に応じてその都度必要な記録を細かく残していく必要があり、記録の方法には大きく分けて、測量・実測と写真撮影そして日誌や台帳など文字の記録があります。
 測量・実測は主に平板測量や電子平板測量、写真測量をおこないますが、小さな遺構や遺物の取り上げ記録の場合は手計りで方眼紙に手書きすることもよくあります。測量・実測は数値と図表現とが正確に記録されることがとても大事になります。そして、写真撮影はフイルムでの撮影とデジタルカメラでの撮影を併用します。調査区全体を撮影する場合は櫓を組んだり撮影用のラジコンヘリを用いたりします。台帳や日誌は調査の過程やたくさん検出する遺構・遺物を正確に管理するためにとても大切な記録です。日々まめに記録を取ることが丁寧な発掘調査の基本になります。
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    遺物出土状況の実測

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    土層の実測

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    ラジコンヘリによる空撮写真

7.埋め戻し

 発掘調査で取り上げた土は、たいてい調査区の近くに山を作って保管しています。そして、調査が終わると、ふたたびパワーショベルでその土を移動して、掘削した調査区を丁寧に埋め戻します。これで現場での発掘調査はおわりです。

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