開催日時 |
すでに終了しております 2017年5月13日 14:30~15:30 |
所 在 |
京都市中京区新町通六角下る六角町369他 【map】 |
今回の発掘調査について
今回発掘調査をおこなった平安京左京四条三坊二町という地は、8世紀末に平安京ができて以降「下の京」の一部として、京の町の発展に大きく関わってきた地域といえます。
しかし当地は扇状地の高みの縁辺にあたり、今回の調査では平安時代後期の整地層は一部で確認できたものの、鎌倉~室町時代の中世には採土をおこなった土取り穴やその穴を利用した塵芥などの廃棄処理の痕跡がうかがえ、ゴミの集積所に近い土地利用が中心となっていたようです。ただ、鎌倉末~室町初め(14世紀頃)と考えられる「室(むろ)」の遺構が1基確認できました。「室」とは食物等の貯蔵に利用した地下施設のことをいいます。今回検出した室は床に石を敷いた長方形のもので、おそらく15世紀初め頃までに廃絶しており、廃絶後に大量の炭や焼土を含む土で埋められていました。この室が廃絶して以降当地は、室町末~安土桃山時代頃にようやく宅地面の整備がなされたようです。
このように、中世においての廃棄処理の土地利用の性格上、今回の調査により出土した遺物は非常に多く、膨大な量の土器・陶磁器や宋銭等が出土しています。その中には中国からの輸入品である非常に貴重で珍しい磁器や天目茶碗なども多くみられます。また、多数の銭貨や貝・魚骨・鹿角などの残滓も多くみることができ、当時の下京の豊かさを多方面からうかがうことができる資料となっています。
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調査第4面全景
(西より)
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室検出状況
(西より)
現地説明会の様子
今回の調査地は周辺の道幅が狭く人通りも多い街中に位置していることもあり、大々的に一般の方々を招いた現地説明会にすることはできませんでしたが、近隣の方々へは事前に告知をさせていただき、近隣住民向けの説明会として所縁の土地の埋蔵文化財に親しんでいただこうと小規模ですがアットホームなスタイルで開催させていただきました。
当日朝は雨模様でしたが午後にはすっかりやんで、予定通り滞りなく開催するとこができ、およそ80名の方々に発掘調査の成果をご紹介することができました。また、今回は調査の手も進めなければいけないという弊社の都合もあり、発掘作業をおこないながらの現地説明会とさせていただきましたが、来場くださった方のなかには実際の発掘作業も見ることができておもしろかったと言ってくださる方もおられ、結果的にはこうしたスタイルもよかったのではないかと思えました。ご来場くださった方々がみな発掘調査の成果に興味津々で、調査員へ質問を投げ掛ける場面も多くみられ、今も栄える京都の街の地下に眠っていた「歴史の中の京都」を直に見る事ができたという歓心を来場者の方々から感じることができ、とても有意義な近隣説明会となりました。